増加する在宅訪問と個別指導対策として
長期使用した電子薬歴の切り替えを決断

さくらい薬局

所在地 愛知県安城市
開局

2006年

店舗数

2店舗

立地 循環器内科クリニック門前
導入年月 2021年6月
導入前の状況 他社システム利用

インタビュー動画

さくらい薬局は愛知県東南部の安城市に立地する。在宅訪問の増加、個別指導対策などの理由から21年6月、それまで使用していた電子薬歴から『CARADA 電子薬歴 Solamichi』(以下『CARADA 電子薬歴』)に切り替えた。導入に至った経緯、導入以降の業務の変化について、経営者で薬剤師の鳥居和佳子さんと管理薬剤師の角谷将宏さんに話を聞いた。

導入の目的

急増した在宅業務の効率化と個別指導対策のため

導入の決め手

報告書業務の負担軽減と、指導ナビによる薬剤師間でばらつきの少ない薬歴作成が可能になること

得られた効果

在宅業務の負担軽減と薬歴の質の向上だけでなく、必要な情報にすぐにアクセスできることで患者さんとの会話時間も充実した

循環器内科のクリニックに隣接しています。どういった患者さんが多いのでしょうか。

心筋梗塞、心不全、糖尿病、高コレステロール血症といった生活習慣病の患者さんが多いです。ハイリスク薬も多く出ます。

健康相談の専用窓口を設けています。

生活習慣病は服薬指導のほか、食事についての指導も必要になります。当初は私たち薬剤師が担当していたのですが、より詳しく丁寧に指導するには専門家に任せたほうがいいのではないかということで、いまは管理栄養士の方に指導にあたってもらっています。

具体的にはどういったことをされているのでしょうか。

食事について、患者さんは医師から「たんぱく質を摂ってください」というような指導を受けますが、なかには「たんぱく質って何?」という方もいるわけです。糖質、ビタミンなども同様で、こうした栄養素の説明、レシピなどをまとめたパンフレットを季節ごとに作成して、希望される方に配布するようにしています。
ただし、それだけでは十分とは言えません。生活スタイルが人それぞれ異なるからです。たとえばレシピの紹介は、ご自分で調理される方には役立ちますが、ふだんコンビニ弁当ばかりの方には適切な指導とはなりません。患者さんの生活スタイルを聞いて、コンビニ弁当が中心という方なら、そのなかから必要な栄養素を満たすメニューを提示する必要があるのです。実際にいろいろなコンビニや近隣のショッピングモールに足を運んで調べるようにしています。

右手前が健康相談専用の窓口。患者さんの生活スタイルに合わせて、管理栄養士が食生活のアドバイスをする。

人件費を中心にコストがかかりそうです。

管理栄養士の人件費はかかりますが、患者さんの健康維持に役立ちますし、私たち薬剤師がその時間を薬学的な仕事に充てられることを考えれば、必要な投資といえるのではないでしょうか。

在宅訪問への対応強化から電子薬歴を変更

健康サポート薬局の認定も受けています。

栄養相談のほか、体操教室を定期開催するなどの取り組みを以前からしていました。健康サポート薬局の認定制度ができたとき、すでに要件をほぼ満たしていたので、それなら申請しておくか(笑)、といった感じで認定を取りました。

在宅訪問にも力を入れているそうですね。

地域医療にかかわるケアマネージャーや医師からの紹介で、複数の高齢者施設を受け持つようになりました。現在40人ほどの施設を2件担当しています。

在宅訪問では報告書の作成など事務的な業務も多くなります。

それが今回『CARADA 電子薬歴』に切り替えた大きな理由です。以前使用していたレセコン一体型の電子薬歴では報告書の仕上がりがイメージと違っていたため、エクセルでオリジナルのフォーマットを作成して使用していました。でも、たとえば担当のケアマネージャーが変わればひとつひとつ名前を変更していく必要があるなど、不便な点が多々ありました。
もうひとつ、訪問先にタブレットを持っていきたいということもありました。それまで施設には事務員とふたりで薬歴の束を抱えながら行っていたので(苦笑)。

経営者の鳥居和佳子さん。在宅訪問が増えて、それまで使用していた電子薬歴では対応しきれなくなったという。

誰でも一定レベルの薬歴作成が可能に

レセコン一体型の電子薬歴は10年くらい使っていたのですよね。変更に関して不安はありませんでしたか。

『CARADA 電子薬歴』導入以前、当店は在宅訪問に加えてもうひとつ課題を抱えていました。長期処方の患者さんが多く個別指導が定期的に入ることから、その対策として薬歴の全体的な底上げが必要だったのですが、スタッフの入れ替えがあったため、実現が難しくなっていたのです。経験の浅い薬剤師でも一定レベルを担保できるような電子薬歴がどうしても必要でした。

変更について不安を持つ薬剤師もいたと思いますが、その必要性、意図をきちんと説明して、納得してもらいました。いくつかあった候補の中から『CARADA 電子薬歴』を選択する際にも、管理薬剤師に相談してから決めました。

薬歴の作成について、それまで使っていた電子薬歴では十分ではなかったのですか。

薬局全体、あるいは薬剤師ごとに定型文を用意して使っていましたが、定型文のセルの並べ替えを簡単にできないなど操作性に問題がありました。必要な文章を探すのも容易ではなかったことから各薬剤師が選択する定型文も限定的になりがちでした。とくに、長期にわたって薬の種類、量に変化がない患者さんの薬歴ではその傾向が顕著でした。とはいえ、いつも同じ内容では個別指導で指摘されるリスクが上がってしまいます。
その点、『CARADA 電子薬歴』では、同じ処方内容が続く患者さんであっても、指導ナビを使えば毎回異なる指導をすることができますし、その変化が薬歴にも反映されます。

導入から約3か月が経過しました。便利になったと感じる点はありますか。

いまは在宅訪問にはタブレットを持参しています。移行期ということでファイルも持参していますが開くことはありません。報告書の作成も効率的になりました。たとえば地域のケアマネージャーの名前を登録しておける機能。あらかじめ登録しておけば、変更があった際にクリック一つで反映されます。
小さなところでは検索のしやすさですね。以前使っていた電子薬歴では、薬品名の検索が大変でした。でもいまは予測変換のシステムが違うのか、目的の薬品名がすぐに出てきます。

操作に難点はなし。ひととおり触ればすぐに使えるように。

外来を中心に業務に当たられている管理薬剤師の角谷将宏さんにも話をお聞きしたいと思います。導入以降、業務内容に変化はありましたか。

角谷 日々使用するうえでもっとも感じるのは、起動と、画面の切り替わりの速さです。患者さんに対応する際、必要な情報にすぐにアクセスできることが患者さんとの会話時間の確保につながっています。

便利だなと感じる機能はありますか。

角谷 ひとつは回数や量変更のアイコン表示。ひとめでわかります。もうひとつは指導ナビです。薬剤師は各々の経験、知識のなかで業務をしていますが、指導ナビを使うことで新たな知識、気づきを得られます。この部分が今後さらにアップデートされていけば、現場で働く薬剤師の大きな助けになると思います。

操作性についてはいかがでしょうか。すぐに慣れましたか。

角谷 難しいと感じる部分はありません。ひととおり触ってみて説明を受ければ誰でもすぐに使いこなせるようになると思います。

在宅訪問を担当する鳥居さんと、薬局内の外来を担当する角谷さん。

角谷さん、ありがとうございました。再び、鳥居さんにお聞きします。経営者としての観点から、コスト面ではいかがでしょうか。

コスト削減につながっています。というのも以前の電子薬歴はパソコン1台ごとの契約だったからです。薬剤師が増えたからまた1台、あちらでも、こちらでも作業したい、となって最終的には9台まで増えてしまいました(苦笑)。 その点、『CARADA 電子薬歴』では店舗ごとの契約です。複数のパソコンやタブレットに入れても、料金は変わりません。

最後に今後、『CARADA 電子薬歴』を使った新たな展開を予定しているようでしたら教えてください。

地域連携の活動にも役立てていきたいと考えています。地域住民への健康相談会、地域医療機関の在宅訪問会議などで患者さんと直接お会いすることもあります。そうしたときにタブレットを携行していれば、いつでも必要な情報を取り出せます。健康サポート薬局としての活動にも、こちらは休日対応が必要なため、やはりタブレットが必須になります。今後の活動としては、具体的な計画があるわけではないのですが、地域連携薬局も視野に入れています。無菌製剤処理室を作れば要件を満たすので。そうした展開の際にも『CARADA 電子薬歴』が役立つだろうと期待しています。

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