CARADA 電子薬歴 Solamichi
2021年度グッドデザイン賞を受賞しました!
1.グッドデザイン賞受賞の評価ポイント
グッドデザイン賞の審査員コメントをご紹介します。どのような点が評価されたのでしょうか。
2.代表 田浦 貴大 の『CARADA 電子薬歴 Solamichi』への想い
『CARADA 電子薬歴 Solamichi』そのものである代表 田浦の声をお届けします。
3.『CARADA 電子薬歴 Solamichi』開発者の想い
日々サービス改善に向き合う開発者の想いを通して『CARADA 電子薬歴 Solamichi』の「これまで」と「これから」をお伝えします。
薬歴記載に関わる負担を最小化するという即時的な業務メリットがある
薬剤師だけでなく、患者の治療に役立つことまで考えられたサービスである
様々なデータ連携によるサービスの広がりが期待される
(以下、審査員コメント)
〝現場薬剤師の薬歴記載に関わる負担を最小化するという即時的な業務メリットにとどまらず、このシステムが患者の電子薬歴を蓄積するプラットフォームとなって、将来の最適な治療に役立てられることがこのサービスの本当の価値である。このビジョンを実現するため、サービスのさらなる広がりと様々なレイヤーでのデータ連携を期待したい。″
グッドデザイン賞とは
1957年に旧通商産業省によって設立された「グッドデザイン商品選定制度」を継承する、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。単にものの美しさを競うのではなく、産業の発展とくらしの質を高めるデザインを、身の回りのさまざまな分野から見いだし、広く伝えることを目的としています。世界でも有数の規模と実績を誇るデザイン賞として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加するとともに、よいデザインを社会に広める運動としても多くの人びとから支持されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
私たちは、医療現場の課題に向き合い、ICTの力で医療を支援し、患者も医療従事者も安心できる「日本の医療プラットフォーム」の実現を目指しています。『CARADA 電子薬歴 Solamichi』は単純な記録のための薬歴システムではありません。
薬剤師がこれまで以上に医療現場で活躍するためのサポートを行っています。 例えば、特許を取得している「指導ナビ」では、処方薬の薬効や副作用など薬剤師が患者に伝える内容を薬歴側から提案することが可能です。
薬剤師の業務効率化を図り、患者と向き合う時間を増やすことで地域のみなさまに愛される薬局づくりを応援します。
今後は、エムティーアイグループが提供する様々なヘルスケアサービスとつながることで、日本の医療を支えるサービスとなることを目指します。
『CARADA 電子薬歴 Solamichi』には、薬局の課題を解決する機能が数多く盛り込まれています。薬剤師がそれらの機能を快適に使えるよう、サービス担当者や薬剤師への確認を繰り返し、細部までに気を配ってデザインしてきました。 特に力をいれたのは、メインの薬歴画面です。膨大な情報を1画面に収めながらも見やすさを損なわず、薬剤師が今まで活用して慣れている紙のオペレーションと同じ体験を実現することを追求しました。
『CARADA 電子薬歴 Solamichi』(以下、『CARADA 電子薬歴』)の開発担当者に話を聞きました。
■ 薬歴から提案する「指導ナビ」が支える新しい薬剤師と薬歴の関係
■ 2021年度グッドデザイン賞受賞までの道のり
■ 『CARADA 電子薬歴』のデザインに秘められた想い
■ 『CARADA 電子薬歴』の今後
鴻池美樹
2019年7月より株式会社ソラミチシステムへ参画。
企画開発部の部長として『CARADA 電子薬歴』の企画立案や機能開発を推進。
竹田理沙子
2020年5月より株式会社ソラミチシステムへ参画。
企画者として『CARADA 電子薬歴』の機能開発やLINEを利用した処方予約サービスを担当。
山田竜也
株式会社エムティーアイ +Design部 マネージャー
株式会社エムティーアイの様々なサービスデザインを担当。『CARADA 電子薬歴』立ち上げ時にディレクターとして参画。
粟田 智紀
株式会社エムティーアイ +Design部 ディレクター
エンタメ系サービス、金融系サービスなどのプロジェクトに関わった後、株式会社エムティーアイが運営する一般消費者向けヘルスケアサービスを中心にデザインの実績を積む。2020年から『CARADA 電子薬歴』のデザインを担当。
畑中 隆子
株式会社エムティーアイ +Design部 デザイナー
Central St. Martins卒。エディトリアル、グラフィックデザイン、WEB/アプリなどを手がける。『CARADA 電子薬歴』サービス立ち上げ時、デザイン担当。現在、気象情報デザインに従事。
クラウド型電子薬歴として設計を開始した『CARADA 電子薬歴』。これまでは薬局にデータを保管するオンプレミス型の薬歴が主流でした。一歩先の形式で始まった『CARADA 電子薬歴』は現在に至るまでどのように成長してきたのでしょうか。
『CARADA 電子薬歴』の企画開発を担当している鴻池さんに話を聞きました。
― 電子薬歴が普及する中、どうしてクラウド型で『CARADA 電子薬歴』をスタートすることになったのでしょうか。
薬歴システムは既に多くの薬局で使われていますが、大きな箱形のパソコンの時代から、ほとんど変わらない見た目や操作性で、いわゆる業務システムとしての位置づけです。昨今、多くの人がスマホを持ち、AIやDXなどのワードも一般的に聞かれるようになってきましたが、医療業界のIT化はあまり進んでおらず、薬歴システムを利用する薬剤師さんにおいてもシステム利用に慣れない方が多くいらっしゃるのが現状です。
クラウド型であれば、時間や場所に縛られずに在宅での訪問先や他店舗でのサポート時、夜間の対応でも、薬歴の作成や閲覧がリアルタイムで可能となります。また、端末の故障時や、災害時においても、データはクラウドに保存されているため、安心です。
年々求められることが増えていく薬局業務の中で、クラウド型にすることで少しでも業務を効率化させ、パソコンに自信のない方でも簡単に操作ができ、3回分の処方箋や薬歴が1画面で見られるといった一覧性が担保されているような薬歴を作りたいと思い『CARADA 電子薬歴』を生み出しました。
当社のゴールは、単なる業務システムを作るのではなく、医療のプラットフォームを構築することにあります。この想いを胸にサービスをスタートし、現在も挑戦を続けています。
―『CARADA 電子薬歴』の機能と一番向き合っている担当者として、お勧めのポイントはどこですか?
一番は、やはり、誰にでも簡単にご利用いただけるところです。「画面を開く→チェックを入れる→反映」の流れで薬歴の作成をサポートしており、変化やアラートも自動で表示されます。また、デザイン面も多くの方に受け入れられやすく、見やすいシンプルなものになるよう気を付けています。
また、『CARADA 電子薬歴』の良いポイントとして、“誰でも60点の薬歴が書ける”ことです。というと、100点じゃないのか、とお叱りを受けてしまいそうですが、現実問題、立場も経験もモチベーションもリテラシーも異なる方全員が100点を取ることは不可能に近いといえます。実際、90点の人もいれば、20点ほどの人もいらっしゃるのではないでしょうか。そうしたバラバラな質の底上げを図り、安定して業務に取り組んでいただく、その結果、患者さんにとっても安心・安全を提供できる、そういったサービスを目指しています。
― 薬歴から提案する「指導ナビ」。特許も取得していますが、どのような背景で生まれた機能なのでしょうか。
非常に多くの機能が載っている、高スペックな薬歴システムも市場には存在します。しかしながら、日々業務に追われる中で、複数の画面を行き来して、複雑な機能をどれほどの人が使いこなせているでしょうか。また、薬歴記載のために残業することも少なくありませんが、そのような中で、対人業務にどれだけの時間が割けているでしょうか。
これらの問題を解決するべく、生まれたのが指導ナビです。指導ナビは、チェックを入れて反映するだけで、誰でも簡単に短時間で薬歴を作成でき、Do処方の場合でも、前回と同じ内容にならないよう設計されています。基礎情報で選択した内容に応じて文章が残せるなど、指導ナビの項目を順番に確認していくだけで、患者さんの状態を反映した薬歴が作成できます。そのうえで、お気づきの点を追記・編集したり、より詳しく書きたい場合には、各詳細画面から必要情報を反映させることも可能です。
実際にご利用いただいている薬局の方からは、薬歴での残業が大幅に減った、継続性のある薬歴がしっかり記載できるようになった、などの嬉しいお声をいただいております。
―「1画面で薬歴がすべて見える」という画面設計がユーザーの方からもご好評いただいております。なぜここにこだわりを持つことになったのでしょうか。
薬剤師さんは今回の内容を単独で見るのではなく、前回までの申し送り事項や処方変化など、連続性をもって確認し、今回の方針や留意点を判断しています。その流れをできるだけ邪魔せず、画面を切り替える手間なく確認できるように、今回・前回・前々回の3回分の処方と薬歴を1画面で見られるようにしており、前々回以前についても、ボタンを押すだけで、同画面内で今回処方と簡単に比較ができるように設計しています。
TODOリストや報告書、カレンダー機能、服薬フォローなど多くの開発に携わり、今回のグッドデザイン賞へのエントリーを担当した竹田さんにも話を聞きました。
― クラウド型の電子薬歴の特徴としてアップデートの頻度が高いことがあげられます。『CARADA 電子薬歴』ではどのようにアップデートが行われているのでしょうか。
お客様の声や調剤報酬改定、法改正といった国の動き、社会情勢など、様々な要素を検討したうえで機能追加を行っています。クラウド型故に、現場での操作なく定期アップデートできる一方で、すべての薬局に同じ機能が追加されることになります。同じ「薬局」でも店舗によって業務フローは様々で、どこかの店舗で使いやすい機能が、違う店舗では使いにくいことも発生し得る状態のため、機能追加を行う際は、その機能がなぜ必要なのか、価値ベースで検討を行うことを心がけています。アップデート内容は、小から大規模まで様々ですが、スピードは大事にしながらも、検討時にはしっかりと業務フローを整理し、現場での「使いやすい」につながる機能開発を行っています。
2021年度グッドデザイン賞受賞についても話を聞きます。
― 『CARADA 電子薬歴』がグッドデザイン賞に応募するきっかけを教えてください。
『CARADA 電子薬歴』は、発売当初から「使いやすさ」にこだわってきました。薬剤師さんが毎日使う業務システムなので、いかにしてその業務を効率化し、さらには改善するかが重要になります。そのために、私たちはより良いサービスデザインを日々検討していますが、私たちのサービスが、本当に「良い」デザインとなっているかどうかを証明することはできていませんでした。第三者からの評価をいただくことで、メンバー全員が胸を張って「使いやすい薬歴システム」だと言えるように、グッドデザイン賞に応募する運びとなりました。
― グッドデザイン賞に応募するにあたりどのようなところが大変でしたか?
二次審査の準備にはかなり時間をかけました。二次審査の審査員は展示を見て評価します。『CARADA 電子薬歴』が提供できる価値を伝えきるために、お客様の声も動画で用意しました。審査準備にあたり、私たちのサービスの最大の価値って何だろう?どんな未来を実現したいのだろう?といった根幹の部分について改めて考えることができ、今一度、自分たちのサービスに向き合う非常に良い機会になりました。『CARADA 電子薬歴』の使いやすさには自信を持っていたので、受賞連絡を聞いた時は本当に嬉しかったですし、この受賞が今後の『CARADA 電子薬歴』の飛躍にプラスの影響を与えてくれることを願っています。
『CARADA 電子薬歴』のデザインを担当している+Design部にも話を聞きました。
― 『CARADA 電子薬歴』のデザインで一番こだわっている部分を教えてください。
(畑中)サービスを操作する人=薬剤師さんにとっての、使いやすさ、見やすさです。実際の薬剤師さんにデザインを見ていただきながら試行錯誤を繰り返し、その度に良い点、改善してほしいところを現場からフィードバックいただきながら制作を進められたのがとてもよかったです。ソラミチシステム代表取締役の田浦さんがデザイナーと薬局の現場をつなげることに最も力を注いでいました。
(山田)大変だったことと言えば…最初のリリースまでのデザイン工程にもたくさんの苦労がありましたね。情報のやり取りやスケジューリング、品質担保についての課題検討などなど。現在、ここまでお客様のニーズに応えられるサービスになったのは、田浦さんをはじめとする関係者全員が、より良いサービス作りに取り組んできた成果に他ならないと感じます。そんなプロジェクトの一端を担うことができたのが、本当に良かったと思います。
(粟田)私は立ち上げメンバーから引き継いでデザインを担当しているのですが、私が参加した際にはすでに評判の良いデザインが出来上がっていました。『CARADA 電子薬歴』はかなり頻繁に機能追加やUI改修が行われているのですが、常に「当初のデザインコンセプトを維持し、利用者の方々にサービスを複雑に感じさせず、使い続けてもらえるプロダクトにすること」を大切にデザインをしています。
― 今までヘルスケア以外のサービスデザインにも関わってきたと聞いています。『CARADA 電子薬歴』のデザインに活かされているのでしょうか。
(畑中)『CARADA 電子薬歴』の前は、エンタメ系、金融系など複数ジャンルのサービスのデザインに関わっていました。見た目や世界観は大きく異なるのですが、どのサービスでも共通して、ユーザーの立場を第一に考えてデザインを作ってきました。常に使う人の目線で試行錯誤するスタンスが、『CARADA 電子薬歴』のデザインにも活かせたのではないかなと思っています。
(山田)他にも、様々な業界の管理ツール(サービスを運営するための業務システム)のデザイン経験も役に立っていますね。業務システムのデザインは、一般的なエンドユーザー向けのサービス(例えば音楽や動画の視聴サービスや記事を投稿するSNSなど)に比較して、目的も多岐に渡りますので、その分デザインも複雑になります。当時、私はディレクターをしていましたが、当部はそうした管理ツールのデザインに関わる機会が多かったので、そこで蓄積されたナレッジも『CARADA 電子薬歴』の設計に活かされたのではないかと思います。
― 電子薬歴は普段の生活の中では出会わない製品ですよね。どのような点を意識してデザインしたのでしょうか。
(畑中)おっしゃる通り参画当初はまったく触れたことのない専門的な領域で、右も左もわからない状態でした(笑)。そのため最初は、薬局でのお仕事内容や、薬剤師さんたちの年齢層はもちろんのこと、薬剤の歴史や法律などのルールに至るまで、かなり根っこの部分から網羅して学ぶことを始めました。サービスを作る上での情報収集目的ももちろんありますが、何より当事者意識を持ち、自分ごととして現場の課題に向き合って解決策を一緒に考えたかったからです。
その後は前述したとおり、現場からこまめにフィードバックをいただいたことでしょうか。特に、文字や表示している情報の見やすさについては実際の業務のしやすさに直結することもあり、何度も何度も田浦さんに現場確認を繰り返してもらいました…(笑)
(粟田)以前別のプロジェクトで何度か薬局を見学させていただいたことがあるので、同じように薬局の現場で電子薬歴の利用状況を見学したいという思いが強いのですが、私が担当するようになってからはコロナ禍ということもあり、なかなかそういったことも叶わず…。 今はとにかく、営業や企画など業界知識の豊富なソラミチのメンバーに多くの意見をもらうことで、利用者のニーズをデザインにしっかり反映できるように意識しています。
― 『CARADA 電子薬歴』は目に優しいというお声をよく聞きます。ブルーを基調とした色味はどのようにして決まったのでしょうか。
(山田)最初はサービスの顔となるロゴデザインの検討から進めました。そのとき、Solamichiの「ソラ」が「空」を表していること、そして医療サービスとしてお客様に信頼を与えられるものでありたいという想いから、メインカラーを青とすることが決定しました。(青は色彩心理でも「信頼」の表現に用いられます。)
その後、たくさんのサービスをリサーチしながら画面のデザインや配色を検討していきましたが、グレー基調でシステマチックなデザインが多い医療系システムの中にあって、『CARADA 電子薬歴』は、薬剤師さんに優しい印象を与えられる見た目でありたいという想いが強かったです。なぜならサービスの目的は業務負荷の軽減ですので、システムを使うこと自体が薬剤師さんのストレスになってはいけないと考えていたからですね。青を基準としながらも細かく濃淡を調整し、見ていて疲れない配色、それでいて、必要な情報はすぐに見つけられるよう、迷子にならない色彩設計を心掛けました。
― 最後に、「地域のみなさまに愛される薬局」をサポートする『CARADA 電子薬歴』の今後について教えてください。
(鴻池)今後は、SMSを使った服薬フォローや指導ナビのバージョンアップ、他店舗間薬歴連携、お薬手帳連携などの機能追加を予定しています。一歩ずつ進化させていき、『CARADA 電子薬歴』が入っていれば安心!と、ご家族やご友人に薦めていただけるようなサービスを目指しています。
(竹田)今、様々な業界でDXが謳われていますが、システムは現場で使われなければ意味がありません。実際の現場でしっかりと使っていただけることで、薬局の業務水準が向上し、患者さんにより安全な医療を提供することができると思います。個人としては必要に応じて現場に赴き、様々なお客様と繋がることで、利用者の視点に立てる企画者でありたいと思っています。サービスとしては、この業界を牽引していけるような強固なサービスとして成長させていきたいです。今後はエムティーアイグループのCARADAブランドでの連携なども見据えており、システムの立場から日本の医療に携わる人間として、より良い医療プラットフォームの構築に貢献したいです。
『CARADA 電子薬歴 Solamichi』の
機能や導入メリットが3分で分かる!