【セミナーレポート】法令遵守を“経営戦略”に変える―行政がまず見る“体制と信頼”

行政が見る3つのポイントと実際の指摘事例から学ぶ、体制整備を信頼資産に変える実践ヒント

2026年1月14日公開

2025年12月9日・12日、株式会社ソラミチシステム主催のセミナー「法令遵守を"経営戦略"に変える―個別指導から学ぶ、信頼で選ばれる薬局経営の実践講座」シリーズ第1回が開催されました。本回のテーマは「行政がまず見る“体制と信頼”―薬局経営の信頼は体制から始まる」です。
講師は、薬局の現場に25年以上携わり、100件以上の行政指導への対応を支援してきた株式会社フィーリス代表取締役の奥田武詩氏です。

「行政対応」と聞くと、処分や取り締まりといったネガティブな印象を持たれがちです。しかし、奥田氏が強調したのは「制度は薬局を処分するためにあるのではなく、より良い運営へと導くために存在している」という視点でした。本セミナーでは、全国で実際に指摘されている7つの代表的な事例を通じて、行政が確認するポイントと、それを経営にどう活かすかが解説されました。

1. 行政が見ているのは「書類」ではなく「仕組み」

薬局には、法律によってさまざまな体制の整備が求められています。管理薬剤師の配置、勤務体制の届出、設備や掲示の基準など、これらは単なる形式的な手続きではなく、患者さんに安全な医療を提供するための基盤となる仕組みです。

セミナーの冒頭で奥田氏は、行政が薬局の体制を見る際に重視する3つのポイントを提示しました。

  1.  責任の所在が明確であるか

  2.  届出と実態が一致しているか

  3.  仕組みが日常的に機能しているか

行政は体制に関する書類が揃っているかだけを確認しているわけではありません。書類通りに実際の運営ができているか、そしてずれが生じた時にそれを把握し改善できる仕組みがあるかを見ています。完璧な体制を一度構築することよりも、継続できる仕組みがあるかどうかが重要なのです。

2. 実際の指摘事例から学ぶ―よくある3つのパターン

セミナーでは7つの代表的な指摘事例が紹介されましたが、ここでは特に多くの薬局で発生しやすい3つのパターンをご紹介します。

事例①:体制変更後の届出漏れ

例えば、体制が変更になり、地域支援体制加算の算定を開始したのに、必要な届出が未提出だったというケースです。

これは行政からすると「届出と実態の不一致」として扱われ、最も重く見られるポイントの一つです。体制加算の返還事例は全国で実際に起きており、算定開始と届出のタイミングがずれることで、経営上の損失にもつながります。

改善のポイント
  • 変更事項ごとに何の届出が必要か、様式はどれかを事前に把握

  • チェックリストで届出の担当者・提出日・提出先を明確化
  • 調剤報酬関連の項目は、「体制が整ったらまず届出、その後に算定開始」という順番を組織のルールとして徹底

事例②:掲示内容と届出の齟齬

近年、全国的に増えている指摘が、「掲示と届出の不一致」です。例えば、管理薬剤師や営業時間が変更になったにもかかわらず、掲示内容は変更されていなかったというケースです。

行政は掲示物を単なる飾りとは見ていません。掲示は患者さんへの説明責任そのものであり、掲示に書いてあることが届出とずれていると、患者さんに対して誤った案内をしているという評価になります。さらに近年は、店頭の掲示だけでなく、ウェブサイトや薬局機能情報(自治体のホームページに掲載)など、外部の情報も含めた整合性が確認対象となっています。

改善のポイント
  • 毎月1回、届出と掲示内容を照合シートで確認

  • ウェブ掲載内容も同時点検
  • 更新責任者を明確にする

事例③:処方箋・調剤録の記載不備と保存管理

すべての薬局で指摘を受けやすい項目として、文書管理が挙げられます。代表的な指摘は、調剤済み処方箋に必要事項の記載が不十分、調剤録に最終確認者が不明、疑義照会の内容が記録されていない、というものです。

行政は完璧に書かれていることを求めているわけではありません。誰が最終確認し、どんな理由でその判断をしたのかということを評価しています。文書は法律上の義務であると同時に、未来への説明責任でもあるのです。

改善のポイント
  • 署名欄や確認欄を統一し、誰が最終確認をしたかを一目でわかるようにする

  • 疑義照会は処方箋の備考欄と調剤録の両方に記録する
  • 電子・紙いずれも保存期間、アクセス権限、ログ管理を明文化する
  • 監査フローに最終責任者欄を必ず設ける

3. 体制整備は「コスト」ではなく「信頼への投資」

奥田氏は次のように述べました。

「行政は誰かを処分したいわけではなく、地域に開かれた形で継続的に信頼される運営ができているかを確認し、そのための改善ポイントを示している」

今回紹介された事例はどれも悪意があるから起きるものではなく、忙しい現場の中で気づけばずれが生まれていたというケースがほとんどです。

経営の立場から見ると、届出や掲示、点検作業はどうしても雑務やコストに見えてしまいます。しかし、体制が整備されている薬局は、紹介しやすい薬局であり、選ばれ続ける薬局です。

信頼を積み上げる3つのステップ

ステップ1:人の頑張りではなく、薬局として続けられる仕組みを作る

ステップ2:日常における改善の仕組みを継続する

ステップ3:行政・スタッフ・患者さんからの信頼と経営の安定を実現

この視点を日々の運営に落とし込むことで、行政からの信頼だけでなく、スタッフの働きやすさや経営の安定にもつながっていきます。

4. 次回セミナーのご案内

本セミナーは「法令遵守を"経営戦略"に変える」をテーマとした全6回シリーズの第1回でした。

次回開催情報

  • 開催日:2026年1月28日(水)・30日(金)
  • テーマ:見える信頼―掲示・届出・Web公開
  • 内容
    • 行政が最近特に重視している情報公開の在り方
    • 2025年6月以降の新しい掲示公開制度
    • 実例ベースでの解説

薬局経営における法令遵守と業務効率化にご関心をお持ちの方は、ぜひ弊社のセミナー情報をご確認ください。

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