保険調剤の「売上を因数分解」して一歩先の薬局経営を考えていきましょう。
2022年2月16日公開
前回はデータを活用して新型コロナウイルスの影響を3つの変化から確認しました。
<前回記事「薬局に対する新型コロナウイルスの影響は」はこちら>
今回は保険調剤の「売上を因数分解」して一歩先の薬局経営を考えていきます。
皆さんは薬局の経営をどのように把握していますか。私はこれまでに「売上」や「処方箋の受付回数」から薬局の経営を把握していると耳にする機会が多かったです。また、最近は新型コロナウイルスの影響により「売上が前年比減少」(現在は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年から回復)など様々なメディアで目にします。今回はその「売上」を因数分解して薬局経営を考えていきます。
保険調剤の「売上」を因数分解してそれぞれの構成要素を確認していきます。今回は「売上」をKGI、それぞれの構成要素をKPIとして以下のように因数分解します。
「売上」は「受付回数」と「処方箋単価」の掛け算です。「売上」の構成要素である「受付回数」は「患者人数」と「来店頻度」の掛け算です。「売上」のもう一つの構成要素である「処方箋単価」は「技術料単価」と「薬剤料単価」の足し算です。
*KGI:Key Goal Indicator(重要目標達成指標)
*KPI:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)
「売上」を前年と比較する場合、上記6つのKPIのうちどのKPIが大きく影響したのかを把握することが大切です。ざっくりと「売上が増加or減少」ではなく、KPIそれぞれの変化を正しく把握することで検討するべき対応が見えてきます。KGIの「売上」が前年比減少したことにだけ注目していると、実は前年比増加したKPIが存在することを見逃してしまうことがあります。
因数分解によるKPIの検討ができる体制が整ったら、更に細かく因数分解することでより深く現状を把握することができます。「患者人数」は「新規患者人数」と「既存患者人数」に分解できます。「技術料単価」も「調剤基本料単価」と「薬学管理料単価」と「調剤料」に分解できます。「薬剤料単価」も「高額薬剤」と「高額薬剤以外」に分解できます。この因数分解をKPIツリーとして表すと以下のようになります。
それでは、KPIツリーの活用を考えていきましょう。例えば、前回掲載したように新型コロナウイルスの影響により小児の急性処方が前年比減少しました。
<前回記事「薬局に対する新型コロナウイルスの影響は」はこちら>
これはKPIツリーを活用すると正しく把握できます。まず「受付回数」の減少が把握できます。それは主に「患者人数」の減少によるものであり、それは「新規患者人数」と「既存患者人数」どちらが減少しているのかを確認することで一番の大きな変化が把握できます。
更に上記のKPIツリーを「慢性疾患or急性疾患」や「年代」に分類すると新型コロナウイルスの影響が小児の急性処方によるものと把握できます。
また、一時的に増加した「慢性処方の長期化」はそのタイミングで「薬剤料単価」が増加します。それが「高額薬剤」による影響ではないことも把握できます。
上記のようなKPIの変化を把握したら何か対策を検討したいですよね。例えば、薬機法の改正により義務化された「服薬フォローアップ」の活用はいかがでしょうか。小児の受診抑制が対面や接触の不安と考える場合、ITを活用した「服薬フォローアップ」の提案がフィットするかもしれません。
【仮説】
薬局への来店を控えている(=次回来店までの期間がこれまで以上にある)小児の患者さんのお薬の服用後の確認に「服薬フォローアップ」がフィットするのではないか
【施策】
初めてのお薬が処方された小児の患者さんに「服薬フォローアップ」を実施、お薬が説明通りに服用できたことや体調の変化を確認
【提案方法】
服薬指導時に「服薬フォローアップ」の提案、今後ご家族のお薬に関する相談や処方箋をいつでも受けられること説明
【検証内容】
「服薬フォローアップ」を実施した小児の患者さんやそのご家族による「処方箋の受付回数」が増加
上記を検証するには「服薬フォローアップ」を実施した患者さんやそのご家族をデータ上で特定する仕組みも併せて検討する必要があります。
また、令和4年度診療報酬改定では「服薬管理指導料」の算定には「服薬フォローアップ」の実施が必要になりそうです。「服薬フォローアップ」の確実な実施とともにその効果をKPIで確認できると良いですね。
分析とは「何かと比較する」ことがポイントです。今回はKPIツリーを活用して前年の実績についてKPIを比較することで変化を正しく把握することを紹介しました。変化を正しく把握できれば取るべき対応が仮説として見出せます。また、その仮説に対する取組みの効果をデータで検証するサイクルから学習していくことが一歩先の薬局経営といえます。
電子処方箋、オンライン服薬指導、リフィル処方箋の運用、服薬フォローアップなど薬局を取り巻く環境が大きく変化しようとしています。患者さんのニーズをデータで検証する仕組みが今後ますます重要になっていきます。
金指 伴哉
薬樹HD株式会社 執行役員
株式会社プレサスキューブ 取締役
2001年 東京薬科大学を卒業後、薬樹株式会社入社
2012年〜2020年 薬樹健ナビ株式会社 代表取締役
2016年〜現在 株式会社プレサスキューブ 取締役
2018年~現在 薬樹HD株式会社 執行役員
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