在宅医療に関わる薬局なら
理解しておきたい「在宅緩和ケア」
ー「24時間対応」を可能にするコンフォートセットー

在宅医療でもより丁寧な対応を求められる「在宅緩和ケア」
自信をもって準備できていますか?

2023年1月11日公開
2022年11月30日先行公開

地域に根付いた調剤薬局になるため、患者さんの健康管理の一端を担う薬剤師として在宅医療への参画は今や切り離せないものになってきています。さらに、地域支援体制加算など、国も薬局・薬剤師が地域医療に積極的に参加するよう促しています。在宅医療への関わりが深くなるほど薬剤師の参画が重要になるのが「緩和ケア」です。少し前までは、最期を病院で迎えられる方が大半でした。 しかし最近では環境が整ってきたこともあり、最期を自宅で過ごすという選択肢が選べるようになってきました。その実現のための在宅医療では、薬剤師の活躍も重要です。なぜなら、「在宅緩和ケア」には専門的薬剤の知識や多職種連携が重要だからです。こうした状況下で、地域に根付いた調剤薬局として、どのように「緩和ケア」と向き合っていくべきなのでしょうか?
「在宅緩和ケア」を要する患者さん向けの訪問薬剤管理指導について考えてみたいと思います。

第1回:「在宅緩和ケアは何のためか」そのなかで「調剤薬局は何ができるか」を考える<こちら

第2回:「24時間対応」を可能にするコンフォートセット

第3回:オピオイドの使い分けと、在庫しておきたい薬
※近日公開予定

第4回:その他緩和ケアで使用する薬剤で在庫してもらいたい薬
※近日公開予定

前回は、在宅訪問をさらに踏み込んで地域に貢献する薬局では、開局時間以外つまり、早朝・深夜、休日の依頼にも稼働できる準備を備えた「24時間対応」が必要であり、緊急かつ重要度の高い依頼を予想し、すぐに応じるための備えをしておくことが重要であるというお話をしました。今回は、その解決策として「コンフォートセット」をご紹介します。在宅医療の重要度が高まる令和の置き薬である、もしもの時のためのお薬セットとはどのようなものか、どのようにして、患者さん宅にあらかじめ処方・配備しておくとよいのかをお話しします。

在宅緩和ケアの「コンフォートセット」とはなにか

ここで説明する「コンフォートセット」とは、ご自宅で療養されている患者さんのための、もしもの時のために患者さん宅に用意しておくお薬セットのことです。実は、患者さんだけのものではなく、看病されているご家族、医師・薬剤師・看護師などの訪問する医療関係者のためのものでもあると私は考えています。なぜなら、コンフォートセットを準備しておくことにより、迅速な症状緩和が可能となり、救急外来への受診や緊急入院の防止、ご家族や介護者の不安・負担の軽減、医療スタッフの臨時訪問削減など、在宅緩和ケアにかかわるすべての人の安心につながるからです。また、その場の対応のためだけでなく、どのようなコンフォートセットを選択するか、さらにどのような症状がでたらどの薬剤をどのくらい利用するかなど、医療スタッフやご家族と事前に考えることで、心の余裕にもつながることを実感しています。

これは、緩和ケアの医療現場では珍しい考え方ではありません。緩和ケア病棟では患者さんの状態に合わせて「予測指示」というものがあり、「疼痛時」「不眠時」「呼吸苦時」「嘔気時」といった事態に備えて
【●●の時、薬剤名 △△mg  一回▲錠 ◆時間空けて一日◇回まで追加投与可能】
などのように担当医師から予め細かな指示が出ます。

そして、その都度担当医の判断を仰ぐことなく、看護師や本人の判断で薬の投与が可能です。もちろん、診療科にかかわらず、入院中の患者さんに対して「発熱」や「疼痛時」に予測指示を出しておくことで迅速な対応と医療スタッフの負担を減らす取り組みはよく行われています。

医療機関と連携し、在宅でもこういった運用を計画的に行うことで、深夜帯でもお待たせすることなく患者さんの苦痛緩和に貢献するできる可能性が高いと私は実感しています。

「コンフォートセット」を活用するためにそれぞれのメリットを考える

終末期のがん患者さんの痛み症状緩和おいては、麻薬・オピオイドの使い方がキーになります。ただ、麻薬についての考え方や知識はクリニック管理者によってかなり差があるのが現状です。また同一クリニック内でも常勤、非常勤などの違いによって興味分野やこだわりにも非常に大きな差があります。特に夜間帯や土日祝日は、普段の患者さんの状態を必ずしも把握していない非常勤医師が対応する機会も多いのが実情です。

上記の理由から、医師の興味分野や知識レベルに依存せず使用可能な「コンフォートセット」を患者さん宅にあらかじめ配置してもらうことによって、患者さんは一定水準の苦痛症状緩和を受け易くなります。その実現性をさらに高めるためには、標準的で迅速な投薬を可能にする「コンフォートセット」の存在意義を診療所側に十分理解して頂く必要があります。診療所にとってもメリットが大きいという発信の仕方が望ましいでしょう。

 患者さん個々のコンフォートセットの内容について、もし担当医療機関との間で相談して決めることができたなら、様々理解も深まりますし、セットがうまく活用される確率が飛躍的に高まると思われます。一旦その存在価値がきちんと周知・理解されれば、患者さんご本人にとってプラスなのはもちろん、夜間や土日祝日に臨時対応する可能性がある全職種にとって心強い存在だといえます。

第3回:オピオイドの使い分けと、在庫しておきたい薬

次回は、「コンフォートセット」にも含まれるオピオイドの使い分けと、在庫しておきたい薬を具体的にお話しします。私自身が在宅緩和ケアの現場で長年の経験をもとに、考え抜いたラインナップですのでぜひ、皆さまの参考になれば幸いです。

※第3回:オピオイドの使い分けと、在庫しておきたい薬 は2023年3月公開予定です。

第1回:「在宅緩和ケアは何のためか」そのなかで「調剤薬局は何ができるか」を考える

執筆者プロフィール

村野 賢一郎

株式会社グリーンファーマシー 代表取締役
在宅医療専門医(日本在宅医療連合学会)
麻酔科認定医(日本麻酔科学会)

薬局経営者のほか、東京都内で最も高齢者割合が多い北区を中心に、在宅緩和ケア常勤医師として癌終末期(非がんも含む)の方々を対象に数年間の経験を積んだのち、世田谷区、調布市、三鷹市などで10年以上在宅医療に関わる。関連する資格としては、日本在宅医療連合学会認定専門医など。2022年には東北大学病院緩和医療科に所属し、現在標準的とされる緩和医療について集中的なトレーニングを受けている。

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