処方箋枚数に一喜一憂しない盤石な経営へ。技術料単価の二層構造戦略で収益力を最大化する実践的なヒントを解説。
2025年11月5日公開
「処方箋枚数は増えたのに、なぜか利益が思うように伸びない…」そんな悩みを抱えていませんか?
これまでの記事では、売上改善の基本となる『見える化』、そして『処方箋枚数の増やし方』を解説してきました。しかし、処方箋枚数を伸ばす努力だけでは、経営の安定には不十分です。
本記事では、もう一つの重要な要素である『技術料単価』に焦点を当てます。「設計」を通じて技術料を安定的に向上させる「二層構造」という考え方、つまり「体制整備により設定される点数」と「日々の業務で積み上げる点数」という二層で考える仕組みと、その具体的な仕組みづくりを解説。記事を読み終える頃には、処方箋枚数に一喜一憂せず、利益を最大化するための明確なヒントが得られるでしょう。
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薬局経営の舵取りが難しくなる中、売上や利益改善に頭を悩ませる経営者は少なくありません。その有力な一手となるのが「技術料単価」への注力です。
調剤報酬は、「技術料(調剤技術料や薬学管理料)」と「薬剤料(薬剤料、特定保険医療材料料)」の2つに大別されます。
薬剤料は処方内容に左右され、薬局側でコントロールすることはできません。しかし、技術料は自局の方針と工夫次第で引き上げられる唯一の領域です。
例えば、地域支援体制や医療DX推進体制といった体制を整備すれば、処方箋1枚あたりの点数が底上げされます。さらに、かかりつけ薬剤師指導料や服薬情報等提供料などを日々の業務で確実に算定できれば、単価は着実に上昇するでしょう。
技術料単価を継続的に向上させるには、「今月はかかりつけ指導料を積極的に算定しよう」といった場当たり的な取り組みには限界があります。
重要なのは、特定の個人に依存するのではなく、薬局の体制そのものが自然と高い技術料単価を生み出す仕組みを構築することです。
個々の加算を「点」で追うのではなく、薬局全体の業務フローや体制を「面」で捉え直し、「常に算定できる状態を設計する」という発想へ転換しましょう。これこそが、持続的な経営改善に不可欠な経営者の視点です。
技術料の向上には、「体制整備により設定される点数」と「日々の業務で積み上げる点数」の二層で考えることが重要です。それぞれを「1階部分」「2階部分」として解説します。
この1階部分は、薬局全体の方針や戦略的な投資に基づいて恒常的に算定される点数です。一度体制を整えれば、処方箋1枚ごとに自動的に加算され、安定した収益基盤となるでしょう。
これらの点数は、体制の整備や届出が算定要件となっており、経営判断と先行投資が求められます。しかし、一度要件を満たし、その状態を維持する仕組みを構築すれば、処方箋枚数に左右されず、単価を確実に底上げできます。経営者として、この「1階部分」への投資は、収益安定化の最優先課題として検討すべきです。
この2階部分は、処方箋の内容や患者さんの状態ごとに算定の可否を判断して加算する点数です。日々の業務を通じて収益を最大化するためには、薬剤師が算定機会を確実に捉え、患者への丁寧な説明と適切な情報提供を行う体制を薬局全体に浸透させることが、単価向上の鍵となります。

「CARADA 電子薬歴 Solamichi」のオプション機能【運営分析機能】では、技術料単価の推移をリアルタイムで確認することができます。
調剤報酬の算定は、単に業務を行うだけでは不完全です。その行為が適切に実施されたことを客観的に証明できて初めて、正当な収益として認められます。この正当性を担保する生命線となるのが、患者さんへの「適切な指導・説明」と、その証拠となる「薬歴の記録」を両立させることです。
算定を検討する際は、常に以下の3つの視点で正当性を確認する習慣が重要です。
① 対象の適格性
② 制度上の整合性
③ 前提条件のクリア
個人のスキルに依存して算定の可否を判断すると、必ず漏れやブレが生じます。重要なのは、「患者への指導・説明」と「薬歴への記録」を不可分な一連の業務として捉えることを薬局全体に浸透させることです。
例えば、吸入薬の指導を行った際、患者さんに使い方を説明しただけでは不十分です。「どのような手技指導を行ったか」「患者さんの理解度はどうだったか」を薬歴に記録して初めて、算定の正当性が担保されます。監査が入ったときに「指導した記憶はあるが記録がない」では通用しません。
薬局全体で「説明したことは必ず記録する」という意識を徹底させることが、安定した単価設計の土台となります。

「CARADA電子薬歴Solamichi」のオプション機能【AI音声入力機能】を使えば、患者さんとの会話が自動で文字起こしされ、説明内容の記録漏れを防止できます。加えて、AIによるSOAP形式への自動要約により、薬剤師の薬歴作成時間を削減し、その時間を患者対応の質向上に充てられます。
業務効率化の真の目的は、単に作業を早く終えることではありません。それによって生み出された「時間」という貴重な経営資源を、患者さんへの丁寧な説明や質の高い薬歴作成など、「技術料単価向上に直結する業務」に再配分することにあります。
例えば、調剤ロボットの導入で調剤時間を短縮できれば、その分を患者さんとの対話時間に充てられます。在宅業務支援システムで報告書作成を効率化すれば、その時間を服薬情報等提供料の算定機会創出に回せます。DXはあくまで「手段」に過ぎず、その先にある「経営価値の向上」こそが、経営者が目指すべき真のゴールです。
算定漏れがあった場合、それを個人のミスとして指摘するだけでなく、「なぜ漏れたのか?」「どうすれば防げるのか?」をチームで議論する場を設けることが重要です。この「学習サイクル」を回すことで、薬局全体の運用レベルを引き上げることができます。
例えば、残薬調整を行ったのに加算を取り漏らしたケースがあれば、その原因を薬剤師全員で共有します。「患者さんから残薬の申し出があったときの確認フロー」や「薬歴への記載ルール」を言語化し、マニュアルに落とし込む。こうした積み重ねが、属人化を防ぎ、再現性の高い運用を実現します。
「このケースはどう判断する?」といった判断の迷いをなくすため、算定基準や薬歴記載のルールを言語化・マニュアル化することが不可欠です。これにより、「誰がやっても同じ品質」で業務を行えるようになり、安定した技術料単価の設計が可能になります。
例えば、服薬情報等提供料の算定基準を「医師への情報提供が必要と判断される場面」として具体例を列挙し、薬歴への記載フォーマットを統一する。こうした共通言語があれば、新人薬剤師でもベテランと同じ水準で算定できるようになります。
技術料単価は、戦略的な 「設計」 によって安定的に引き上げることが可能です。そのためには、「体制整備により設定される点数」と「日々の業務で積み上げる点数」という二層構造を理解し、それぞれに適切に取り組むことが不可欠です。
特に「日々の業務で積み上げる点数」を最大化するには、「適切な指導・説明」と「薬歴への記録」 を一体と捉えることが重要です。そして、DXや業務効率化によって創出された時間は、これらの「価値向上に直結する業務」に再投資する。この発想の転換こそが、処方箋枚数に一喜一憂しない、筋肉質な収益構造を創り上げます。
今一度、自局の技術料単価を「体制整備」と「日々の業務」という二層の視点で見直してみませんか?どこに改善の余地があるのか、どこに投資すべきなのか、きっと明確な答えが見えてくるはずです。

患者さんや医師とのコミュニケーションを大切に、在宅業務でより効果的な薬学的側面からの支援を実現。往診同行でも情報がすぐに確認できるクラウド型の電子薬歴が必須。書類管理などの在宅業務を効率化して、薬剤師としての成長とやりがいを実感。
うさぎ薬局(沖縄県)
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